あたたかい雪
ここまで来ると、彼が言いたいことを我慢してうずうずしていることまで伝わってくる。


それも何やら、自分をいい意味で驚かそうとしている。


それが分かると自分自身なんだか楽しくなってきて、美穂はこうなったらとことん彼に付き合ってやろうと決めた。


「ほんとだよね。この街でこんな雪景色が見られるなんて。しかもよく考えたらこれ、初雪だよね」


話を合わせながら昌彦の背後に近寄ると、美穂はマグカップを取ってようやく一口すする。


「そうそう、初雪なんだよ。今日、初雪が降って、しかもこんなに積もるなんて……もしかして神様の贈り物かな」
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