薇姫/獣帝




唇を噛み締めて1つ1つ、階段を上がる。








これも、ーーーー。










ガチャリと音をたてて部屋のドアを開けると、見慣れた面々が各自のソファに座っていた。




『……何か久しぶり?』




「一週間会ってないよ‼」




尚が目に涙を溜めてギャンっと吠えた。




笑って返すと真っ赤な顔でそっぽを向いてしまった。




「お前……痩せたか?」




來哉は私の腕を引っ張って顔をぐいっと近づけた。




蒼い瞳に引き込まれそうになる感覚におちいりながら屈んでいた腰をあげた。








……言わなきゃ。








『あのさ、』















言わなきゃ。
















『私…………』























ガシャァァン












ドアの向こうで派手な破壊音が響く。







それに反応して立ち上がる皆。









少女漫画の様にタイミングがいいね…










これも、計ったの?








「行くぞ」








破壊音から少し後に喧騒が聞こえてきて、來哉が低い声を出して部屋を出ていった。










陽、恭輔、尚も透璃も紘も…出て行った。






私一人部屋をゆっくりと見渡した。











楽しい思い出が沢山詰まってる。














詰まりすぎてて怖いくらいに。












……ゴめンなさイ。















ゆっくりと閉じた目を開いた。















黒のカラコンを置いて、












“思い出”の部屋を飛び出した。










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