荒れ球リリーバー
『続きまして、先発投手の突然の降板と言うアクシデントの中、ロングリリーフとして緊急登板!チームの危機を救った高岡投手です!』

いつものように。アナウンサーの紹介する声から始まって。

『高岡さん。ロングリリーフでの好投。大変お疲れ様でした』

『ありがとうございます。僕自身、球数を考慮するロングリリーフは得意な方ではないんですけど、監督の声掛けと味方の好守に助けられました』

いつものように。ハキハキと受け答えする誠一郎の声が聞こえて。

『では、最後にファンの皆さんに一言お願いします』

いつものように。締め括られる筈だった

けれども、アナウンサーの声に答える事なく、突然黙り込む画面に映るその横顔。

『高岡さん?』と戸惑うアナウンサーが伺う視線の先の表情は、真剣な瞳で口を開く。

『その前に、この場をお借りして気持ちを伝えたい人がいます』

すると、突如告げられたいつも通りを遮る一言。

平常時と異なる突然の出来事に、場内は当然の如く騒然とする。

『皆さん。よろしいでしょうか?』

そんな中紡がれる許しを請う声に、困惑しながらも賛同の拍手を送る観客達。
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