荒れ球リリーバー
『志乃』
マイクを通して球場内に響く低い声は、幼い頃から誠一郎と居続ける私自身の名前を確かに呼び掛ける。
「うそっ…」
どこか予想していて、でもやっぱり信じ切れない私は、視線は画面に釘付けのまま、思わず心の声を小さく漏らした。
『傷付けて、我慢させて、ごめん』
なにが、ごめんよ。今更謝っても、遅いんだから。
『今まで俺がした事。謝って許されるなんて思ってない』
そうよ。絶対に許さない。
『それでも、俺……』
それでも、私……。
『やっぱり、志乃が好きだ』
やっぱり、セイが好き。
マイクを通して球場内に響く低い声は、幼い頃から誠一郎と居続ける私自身の名前を確かに呼び掛ける。
「うそっ…」
どこか予想していて、でもやっぱり信じ切れない私は、視線は画面に釘付けのまま、思わず心の声を小さく漏らした。
『傷付けて、我慢させて、ごめん』
なにが、ごめんよ。今更謝っても、遅いんだから。
『今まで俺がした事。謝って許されるなんて思ってない』
そうよ。絶対に許さない。
『それでも、俺……』
それでも、私……。
『やっぱり、志乃が好きだ』
やっぱり、セイが好き。