荒れ球リリーバー
抱き締められた腕の隙間から遥か高みにある誠一郎の顔をチラリと覗き見れば、中学時代の自分を思い出したらしく気恥ずかしそうな表情を浮かべていた。
釣られて照れた私は、口を尖らせ不満を述べる。
「セイって、ワケわかんないよ」
「そうかな」と困り笑顔を浮かべる無自覚男の腕に抱き締められたまま、私は奴を睨み付けた。
「あの時から、ずっとワケわかんない」
「あの時?」
「高校でドラフト指名されそうだった時」
「あぁ。あれか」
「どうして断ったの?」
お願い。誠一郎。
「“叶えられないから”って、どういう意味?」
あの時言わなかった答えを今教えて。
釣られて照れた私は、口を尖らせ不満を述べる。
「セイって、ワケわかんないよ」
「そうかな」と困り笑顔を浮かべる無自覚男の腕に抱き締められたまま、私は奴を睨み付けた。
「あの時から、ずっとワケわかんない」
「あの時?」
「高校でドラフト指名されそうだった時」
「あぁ。あれか」
「どうして断ったの?」
お願い。誠一郎。
「“叶えられないから”って、どういう意味?」
あの時言わなかった答えを今教えて。