荒れ球リリーバー
いつも素直になれなくて意地を張り続けて来た可愛いげのない私。

だけど、きっと一生に一度しかない特別な今この瞬間ぐらい自分の想いを隠さず言葉にしてもいいよね?



「だから、お願い。

私だけ見ていて。ずっとずっと側にいて。

だって、セイのこと。

大好きなんだから」



ありのまま伝えた直球勝負な素直な気持ち。

「ヤバイ」

だけど、突然聞こえた誠一郎の呟きに不安になった私は、遥か高みにあるその整った顔を見上げた。

「素直な志乃が可愛過ぎて、めっちゃニヤける」

視線の先の表情は、確かに口角が緩み切って、
すっかり締まりがなくなっている。

「バカッ…」と小さく呟き、再びセイの胸に赤面した顔を埋めた私。

セイって投球は荒れてる癖に、その薄い唇が投げ掛けるストレートな言葉はコントロール抜群で、簡単に私の心のストライクゾーンにズバッと決めて来ちゃうんだからずるい。
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