荒れ球リリーバー
でも、セイが他の女のとこに行くのは、もっとごめんだ。

「他の女のとこ行けば?」

なのに素直じゃない私は、正反対の言葉を言ってしまう。

「俺は志乃がいいの」

対称的に、有りのままの想いを告げるセイに心を揺さぶられる。

「志乃の手料理、食べたい」

甘い声色と熱い視線を携えて、誠一郎は私の顔を覗き込んだ。

ドキドキして、思わず首を縦に振りそうになる。

「で、志乃も食べたい」

「マジで帰れ。この変態」

そして、私のドキドキを返せ!

再び下ネタを口にする誠一郎を睨み付けた。

「冗談だってば。なぁ、志乃」

誠一郎の呼び声も無視して、私は玄関から1DKの小さなキッチンへ移動する。

「あれ?」

キッチンへ足を踏み入れ、思わず小さな声を上げたのは、台の上に見慣れぬ白い封筒が置かれてたから。

出勤前には無かった筈の封筒を手に取り、中身を取り出した。
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