荒れ球リリーバー
「これって…」

開幕二日目。

ユリの始球式が行われるドーム球場での観戦チケット。

「取ってくれたの?」

中身を確認した後、誠一郎に視線を移して問い掛ける。

「まぁな…」

気恥ずかしいのか私と視線を合わせず、言葉少なに頷く誠一郎。

私がユリのファンだって、きっと覚えてくれてたんだと思う。

チケットを取ってくれた事、すごく嬉しい。

でもそれ以上に。

些細な事を覚えていてくれた事が、もっともっと嬉しいよ。

だから、自然にこぼれる笑顔と感謝の言葉。

「ありがとう」

「うん…」

誠一郎はこちらを見て、大好きな白い歯の覗く照れくさそうな笑顔で頷いた。
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