荒れ球リリーバー
「お礼にご飯作ってあげる」

本当は元々作るつもりだったけど、素直じゃない私はお礼を口実に料理し出す。

「マジで?」と子供のような笑顔で喜ぶ誠一郎を見て思う。

やっぱり、誠一郎が好き。

ずっと、側にいたい

その為なら。

飯炊き女でも。家政婦でも。性欲処理機能付きのオカンでも。

構わない気がして来る。

そんな私は、やっぱり重症なんだろうか。





「それ、相当重症ですよ。末期ですね。ICUでも、手に負えないレベルですから」

セイに対する私の想いを聞いた華子ちゃんは、実に辛辣な意見を述べた。

毒舌な華子ちゃんに話した事を心底後悔する。

今日は、プロ野球開幕二日目。

あの日貰った二枚のチケットを使い、夕暮れ時のドーム球場に華子ちゃんと共に足を運んだ。
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