荒れ球リリーバー
球界では重宝され勝ちなサウスポーである誠一郎は、慌てて私の手首を掴もうとした。

パシッ

私は、その大きな左手を軽くはたき返して言った。

「さよなら。浮気男」

背を向けて部屋を出た私を誠一郎は、追い掛けて来なかった。





こうして、私と誠一郎は別れた筈なのに。

プルルルル プルルルル

鳴り響くスマホの着信音。

《高岡 誠一郎》

今朝購入した下世話で忌々しい週刊誌にも記載されてた。

別れたはずの男の名前を表示するディスプレイ。

私を追い掛けることなく、合宿に行ったあいつ。

この1週間、連絡ひとつなかったあいつ。

今更、なんなのよ。

絶対出ない!

そう決心したのに、私の手は何故かスマホに伸びて行く。
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