荒れ球リリーバー
「……もしもし」

「………………」

スマホを耳に当て不機嫌な声で応対するけど、返事はない。

「セイ…?」

不審に思って幼い頃からの呼び名を呟く。

「志乃……」

ようやく聞こえた幼馴染みのどこか弱々しい声。

「セイ?どうしたの?」

ついつい心配して、問い掛けてしまう。

「志乃…」

「ん?」

「俺…もうダメかも……」

ブチッッ

それだけ伝えて、切られる電話。

「はっ!?ちょっと!セイ!?」

突然のことに慌てるけど、時すでに遅し。

スマホは、ツーツーと無機質な音を立てていた。

何度掛け直しても、繋がらない。

私の足は、勝手に走り出していた。

幼馴染みで元カレのあいつの所へ。
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