主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
主さまを童扱いしてほっほっほと笑っている地主神ににじり寄った息吹は、痙攣する自分自身の身体を抱きしめながらも笑顔を作って頭を下げた。
「おかげさまで赤ちゃんは順調に育ってると思います。地主神様、ありがとう」
「いやいや、儂のからからに乾いて汚れた祠を綺麗にしてくれたし、そこの仏頂面をしとる童もようやく儂を思い出したようじゃし。これしき何のことはない。じゃが…」
きょとんとして首を傾げた息吹に地主神が手を伸ばそうとした途端、主さまが素早く反応して2人の間に割って入った。
手を広げて無言で威嚇してくる主さまの人差し指をちょいっとつまんで脇に押しやった地主神はやれやれと首を振ってあぐらをかく。
「やめておけい、儂にとっては威嚇してくる子猫と同じじゃ。全く怖くない」
「……何をするつもりだ」
「まだ豆粒の赤子が暴れておる。元気な子じゃ、大きゅうなるぞ」
地主神はなんでもお見通しなのか、元々糸のように細い目をさらに細めて長い髭を撫でている。
…確かに悪意は全く感じないし、どうしたものかと主さまが悩んでいると――息吹が身体を逸らして腹を突き出すようにして地主神に笑いかけた。
「触ってあげて下さい」
「息吹!」
「だって地主神様が授けて下さったんだよ?主さま怒っちゃいや」
ぐっと喉を鳴らして怒りを堪える主さまの着物の袖を引っ張って隣に座らせた息吹は、また頭を下げた。
「主さまがごめんなさい。ね、触ってあげて」
「いいともいいとも。…おうおう、そなたが出てくるのはまだ先じゃぞ。そこの童が小うるさいでな、少々大人しくしような」
地主神が息吹の腹に枯れ枝のような手を押し当てる。
そこからじわりと真っ白な光が湧き出て腹全体に広がっていくと、それまでつわりで気分が悪かった息吹の顔色が桃色に戻ってきた。
「あれ…?」
「つわり自体無くなりはせぬが、そなたを困らせるようなことはもう無かろう。順調に育っておるぞ」
「地主神様!ありがとうございますっ!わあ、主さま聞いたっ?地主神様が!お礼を言って!」
喜びに溢れる息吹の顔を久々に見た主さまは、童呼ばわりしてにまにましている地主神に小さく頭を下げた。
「…恩に着る」
「これからも息吹が祠に来れぬ間、童が来るんじゃぞ」
「………」
断りきれず、陥落。
「おかげさまで赤ちゃんは順調に育ってると思います。地主神様、ありがとう」
「いやいや、儂のからからに乾いて汚れた祠を綺麗にしてくれたし、そこの仏頂面をしとる童もようやく儂を思い出したようじゃし。これしき何のことはない。じゃが…」
きょとんとして首を傾げた息吹に地主神が手を伸ばそうとした途端、主さまが素早く反応して2人の間に割って入った。
手を広げて無言で威嚇してくる主さまの人差し指をちょいっとつまんで脇に押しやった地主神はやれやれと首を振ってあぐらをかく。
「やめておけい、儂にとっては威嚇してくる子猫と同じじゃ。全く怖くない」
「……何をするつもりだ」
「まだ豆粒の赤子が暴れておる。元気な子じゃ、大きゅうなるぞ」
地主神はなんでもお見通しなのか、元々糸のように細い目をさらに細めて長い髭を撫でている。
…確かに悪意は全く感じないし、どうしたものかと主さまが悩んでいると――息吹が身体を逸らして腹を突き出すようにして地主神に笑いかけた。
「触ってあげて下さい」
「息吹!」
「だって地主神様が授けて下さったんだよ?主さま怒っちゃいや」
ぐっと喉を鳴らして怒りを堪える主さまの着物の袖を引っ張って隣に座らせた息吹は、また頭を下げた。
「主さまがごめんなさい。ね、触ってあげて」
「いいともいいとも。…おうおう、そなたが出てくるのはまだ先じゃぞ。そこの童が小うるさいでな、少々大人しくしような」
地主神が息吹の腹に枯れ枝のような手を押し当てる。
そこからじわりと真っ白な光が湧き出て腹全体に広がっていくと、それまでつわりで気分が悪かった息吹の顔色が桃色に戻ってきた。
「あれ…?」
「つわり自体無くなりはせぬが、そなたを困らせるようなことはもう無かろう。順調に育っておるぞ」
「地主神様!ありがとうございますっ!わあ、主さま聞いたっ?地主神様が!お礼を言って!」
喜びに溢れる息吹の顔を久々に見た主さまは、童呼ばわりしてにまにましている地主神に小さく頭を下げた。
「…恩に着る」
「これからも息吹が祠に来れぬ間、童が来るんじゃぞ」
「………」
断りきれず、陥落。