主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
「主さま!息吹が来ました!」
「…なに!?」
百鬼夜行から戻って来た直後から結界への攻撃がはじまったので、百鬼は解散せずにずっと空を警戒していた。
そんな中大きな腹をした息吹が晴明に手を引かれてやって来たので、一同はあっという間に息吹に群がって体調を心配した。
「どうしたんだ息吹!平安町でじっとしていた方がいいぞ!」
「そうだぞ、そんなに大きな腹をして大丈夫なのか?」
「うん大丈夫。父様にここに居た方がいいって言われたから来たの。邪魔にならないようにするから、みんな頑張ってね」
息吹に励まされた面々はそれぞれ恐ろしい顔をしていたがでれっと目尻を下げて口々に息吹に話しかける。
そんな中息吹の来訪に唖然としていた主さまははっと我に返ると、鋭く尖った低い声で百鬼たちを一喝した。
「それぞれ持ち場に戻れ。晴明の結界が破られれば酒呑童子はまっすぐここへやって来るんだぞ」
まっすぐここへやって来てしまえば、安全を求めてここへやって来た息吹の身の安全は保障できなくなる――
急にやる気になった百鬼たちは、息吹から離れると幽玄町側の結界を警戒するために方々散って行った。
縁側に座って両側を山姫と雪男にしっかり守護された息吹は、庭に立って腕組みをして空を見上げている険しい顔つきの主さまをじっと見つめた。
声をかけていいのか、それとも――
「…俺の目の届く範囲内に居てくれ」
「う、うん…」
久々に直接かけられた声は優しく、こちらに顔を向けてはいないがそれもまた主さまらしくてこの状況下の中笑みが湧いてしまった。
晴明は主さまの隣に立つと、印を結びながら主さまの肩を肩で押した。
「気を引き締めろ。そなたの元が最も安全故連れて来たのだからな」
「……わかっている。山姫、蔵から椿姫を連れて来い」
「あいよ」
返事をした山姫が蔵の鍵を持って離れて行く。
乗り込んできた酒呑童子が椿姫を奪還せんと現れたことに、椿姫は何を思うのだろうか?
憎しみか?
それとも――
「…なに!?」
百鬼夜行から戻って来た直後から結界への攻撃がはじまったので、百鬼は解散せずにずっと空を警戒していた。
そんな中大きな腹をした息吹が晴明に手を引かれてやって来たので、一同はあっという間に息吹に群がって体調を心配した。
「どうしたんだ息吹!平安町でじっとしていた方がいいぞ!」
「そうだぞ、そんなに大きな腹をして大丈夫なのか?」
「うん大丈夫。父様にここに居た方がいいって言われたから来たの。邪魔にならないようにするから、みんな頑張ってね」
息吹に励まされた面々はそれぞれ恐ろしい顔をしていたがでれっと目尻を下げて口々に息吹に話しかける。
そんな中息吹の来訪に唖然としていた主さまははっと我に返ると、鋭く尖った低い声で百鬼たちを一喝した。
「それぞれ持ち場に戻れ。晴明の結界が破られれば酒呑童子はまっすぐここへやって来るんだぞ」
まっすぐここへやって来てしまえば、安全を求めてここへやって来た息吹の身の安全は保障できなくなる――
急にやる気になった百鬼たちは、息吹から離れると幽玄町側の結界を警戒するために方々散って行った。
縁側に座って両側を山姫と雪男にしっかり守護された息吹は、庭に立って腕組みをして空を見上げている険しい顔つきの主さまをじっと見つめた。
声をかけていいのか、それとも――
「…俺の目の届く範囲内に居てくれ」
「う、うん…」
久々に直接かけられた声は優しく、こちらに顔を向けてはいないがそれもまた主さまらしくてこの状況下の中笑みが湧いてしまった。
晴明は主さまの隣に立つと、印を結びながら主さまの肩を肩で押した。
「気を引き締めろ。そなたの元が最も安全故連れて来たのだからな」
「……わかっている。山姫、蔵から椿姫を連れて来い」
「あいよ」
返事をした山姫が蔵の鍵を持って離れて行く。
乗り込んできた酒呑童子が椿姫を奪還せんと現れたことに、椿姫は何を思うのだろうか?
憎しみか?
それとも――