主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
これからは、人里を離れて生きてゆくーー
それが酒呑童子のためでもあり、彼が自分のためにそう決めてくれたこと。
椿姫は、ふたつ敷かれた床をぴったりと引っ付けて、酒呑童子と手を繋いで天井をじっと見ていた。
「何からなにまでよくしてくれて…お返しが何もできません」
「…いつか、あいつが窮地に陥った時…きっと駆けつける。…俺が生きている間ならな」
「ふふ、でもあの方はとても強いから呼ばれないかも。…朔ちゃん、とっても可愛いですね。きっと私たちにも…」
絡ませた指先が、その言葉を受けて強く握り返された。
何か…何か、遺したい。
その方法は、ひとつしかない。
「あの赤子はあいつによく似ているから、将来憎たらしくなるだろうな」
「私はあなたそっくりの子が欲しい。きっと可愛いはずです」
紆余曲折あって、ようやく分かち合えた想い。
椿姫は天井から目を写してすぐそばにある横の酒呑童子を見つめた。
…怖くなどない。
一番怖かったのは自分の身体であり、その呪縛から解き放たれた今、強いものなどなにひとつない。
「協力して下さいますか?」
「飽きるほど」
酒呑童子が出会った頃のように、無邪気な笑顔を見せた。
あの時の…好きになった時の酒呑童子に戻ってくれて嬉しくなった椿姫は、身体を起こして傾けると、酒呑童子の唇に小さな口づけをした。
「大胆だな」
「これ位はしてもいいでしょう?これ以上のことは…」
「楽しみだ。誰にも邪魔されない、俺たちの場所…」
それを与えてくれた主さまに感謝を。
惜しみない、感謝を。
惜しみない、賛辞を。
それが酒呑童子のためでもあり、彼が自分のためにそう決めてくれたこと。
椿姫は、ふたつ敷かれた床をぴったりと引っ付けて、酒呑童子と手を繋いで天井をじっと見ていた。
「何からなにまでよくしてくれて…お返しが何もできません」
「…いつか、あいつが窮地に陥った時…きっと駆けつける。…俺が生きている間ならな」
「ふふ、でもあの方はとても強いから呼ばれないかも。…朔ちゃん、とっても可愛いですね。きっと私たちにも…」
絡ませた指先が、その言葉を受けて強く握り返された。
何か…何か、遺したい。
その方法は、ひとつしかない。
「あの赤子はあいつによく似ているから、将来憎たらしくなるだろうな」
「私はあなたそっくりの子が欲しい。きっと可愛いはずです」
紆余曲折あって、ようやく分かち合えた想い。
椿姫は天井から目を写してすぐそばにある横の酒呑童子を見つめた。
…怖くなどない。
一番怖かったのは自分の身体であり、その呪縛から解き放たれた今、強いものなどなにひとつない。
「協力して下さいますか?」
「飽きるほど」
酒呑童子が出会った頃のように、無邪気な笑顔を見せた。
あの時の…好きになった時の酒呑童子に戻ってくれて嬉しくなった椿姫は、身体を起こして傾けると、酒呑童子の唇に小さな口づけをした。
「大胆だな」
「これ位はしてもいいでしょう?これ以上のことは…」
「楽しみだ。誰にも邪魔されない、俺たちの場所…」
それを与えてくれた主さまに感謝を。
惜しみない、感謝を。
惜しみない、賛辞を。