主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
日常とは何かーー
それは息吹にとって、妖と共に暮らすこと。
友達になってくれた百鬼たちが居て、父代わりの晴明と母代わりの山姫が居てくれたこと。
そして、主さまが居てくれたこと。
「息吹、もっと撫でてほしいにゃ。…どうしたにゃ?」
「ううん、猫ちゃん何でもないよ。幸せだなあって思ってただけ」
縁側に座っていた息吹の足元で腹を見せて転がっていた猫又は、幾つにも分かれた尻尾を振って目をまん丸にした。
「でも泣きそうな顔してたにゃ。息吹を泣かせる奴は僕たち百鬼が全力をもって…」
「違うから。人は幸せな時も泣きたくなるんだよ」
ふうん、と意味を理解したようでそうでないような返事をした猫又の狭い額を撫でてやっていると、雪男が何故か忍び足で隣に腰かける。
その真っ青な瞳の中に自身の姿を見た息吹は、首を傾げて雪男の腕の中の朔に笑む。
「雪ちゃんは抱っこが上手だから朔ちゃん安心しきって寝てるね」
「…息吹。俺さあ…」
「なあに?」
「俺さあ…主さまが好きなんだ」
突然の告白。
聞き様によっては危険な告白に猫又が耳をぴんと立てて立ち上がる。
だが息吹は知っていると言わんばかりに頷いて、また笑む。
「知ってるよ?それがどうしたの?」
「だから…息吹は2番目。いや、2番目だけど女の中じゃ1番だから。ええと…つまり…」
「つまり主さまのことが大好きってことなんでしょ?知ってる知ってる。ふふ、雪ちゃん顔真っ赤」
主さまは無口だし性格もけして良いとは言えないが、絶大な力があり、妖も人も惹きつける魅力がある。
雪男は不平不満を言いつつも、主さまに軽口を叩けるほど親密だし、百鬼の中でも山姫と雪男は主さまの両腕に等しいのだ。
息吹にしてみれば雪男に言い寄られて困ることもあるのだが、雪男が主さまにぞっこんなのは昔から知っている。
「ぬ、主さまは口悪いけどさ。一応尊敬してるんだ。だから…息吹を誰かに取られるんなら…主さまなら許せるかなって最近思えるようになったよ」
柔らかく笑って腕の中の朔に視線を落とす雪男。
嬉しくなった息吹は、雪男がやけどしないように着物の袖を握って笑顔全開。
「雪ちゃん、嬉しい!」
「でっ、でもお前のことは諦めないからな!2番目でも1番目なんだからな!」
ーーその後それを盗み聞きしていた主さまと大喧嘩になったのは、言うまでもなかった。
それは息吹にとって、妖と共に暮らすこと。
友達になってくれた百鬼たちが居て、父代わりの晴明と母代わりの山姫が居てくれたこと。
そして、主さまが居てくれたこと。
「息吹、もっと撫でてほしいにゃ。…どうしたにゃ?」
「ううん、猫ちゃん何でもないよ。幸せだなあって思ってただけ」
縁側に座っていた息吹の足元で腹を見せて転がっていた猫又は、幾つにも分かれた尻尾を振って目をまん丸にした。
「でも泣きそうな顔してたにゃ。息吹を泣かせる奴は僕たち百鬼が全力をもって…」
「違うから。人は幸せな時も泣きたくなるんだよ」
ふうん、と意味を理解したようでそうでないような返事をした猫又の狭い額を撫でてやっていると、雪男が何故か忍び足で隣に腰かける。
その真っ青な瞳の中に自身の姿を見た息吹は、首を傾げて雪男の腕の中の朔に笑む。
「雪ちゃんは抱っこが上手だから朔ちゃん安心しきって寝てるね」
「…息吹。俺さあ…」
「なあに?」
「俺さあ…主さまが好きなんだ」
突然の告白。
聞き様によっては危険な告白に猫又が耳をぴんと立てて立ち上がる。
だが息吹は知っていると言わんばかりに頷いて、また笑む。
「知ってるよ?それがどうしたの?」
「だから…息吹は2番目。いや、2番目だけど女の中じゃ1番だから。ええと…つまり…」
「つまり主さまのことが大好きってことなんでしょ?知ってる知ってる。ふふ、雪ちゃん顔真っ赤」
主さまは無口だし性格もけして良いとは言えないが、絶大な力があり、妖も人も惹きつける魅力がある。
雪男は不平不満を言いつつも、主さまに軽口を叩けるほど親密だし、百鬼の中でも山姫と雪男は主さまの両腕に等しいのだ。
息吹にしてみれば雪男に言い寄られて困ることもあるのだが、雪男が主さまにぞっこんなのは昔から知っている。
「ぬ、主さまは口悪いけどさ。一応尊敬してるんだ。だから…息吹を誰かに取られるんなら…主さまなら許せるかなって最近思えるようになったよ」
柔らかく笑って腕の中の朔に視線を落とす雪男。
嬉しくなった息吹は、雪男がやけどしないように着物の袖を握って笑顔全開。
「雪ちゃん、嬉しい!」
「でっ、でもお前のことは諦めないからな!2番目でも1番目なんだからな!」
ーーその後それを盗み聞きしていた主さまと大喧嘩になったのは、言うまでもなかった。