主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
息吹と出会い、別れ、再び再会してからずっと主さまが思っていたことーー
それは、息吹の独占だ。
…日々百鬼夜行を続けながら、ずっと考え、ずっと探していた。
どれだけ狭量だと晴明たちに詰られようが、構わない。
とにかくふたりきりになりたい。
そういう風にまで思わせる存在の息吹はその時ーー
「母様、そろそろ赤ちゃん欲しいと思わない?父様との赤ちゃんなら絶対可愛いと思うの」
「そうは言っても晴明が気乗りじゃないし、あたしもあんたが居れば十分だよ」
我儘を言う子をあやすような口調で縁側で息吹の頭を撫でているのは、百鬼筆頭の山姫だ。
留守役に置いているから力はあまりないように見えるが、男を魅了し、惑わして魂を吸い尽くす能力は天下一品。
人も妖も、関係ないほどの能力。
晴明もまた容姿端麗で力も折り紙付きだが、息吹を養女に迎えた時から、自ら子を持つことを望んでいないと公言していた。
「息吹、よその家のことに口を挟むな」
「主さま!失礼ね、よそじゃなくて私の家の話なんだから」
「…お前の家はここだろうが」
口調に剣のこもる主さまの苛立ちに気付いた山姫が、頭をぽりぽりしながら視線を泳がせて立ち上がると、主さまは颯爽と息吹の隣に腰掛けた。
「ここもそうだし、あっちもそうだもん。主さまの分からず屋」
「…ふてくされるな」
「ふてくされてませんっ。朔の様子を見てくるね」
また息吹の関心を奪われかけた主さまは、急に息吹の腕を掴んで驚かせると、滅多に見せない無邪気な笑顔を見せて低い声で囁いた。
「連れて行きたい場所がある」
それは、息吹の独占だ。
…日々百鬼夜行を続けながら、ずっと考え、ずっと探していた。
どれだけ狭量だと晴明たちに詰られようが、構わない。
とにかくふたりきりになりたい。
そういう風にまで思わせる存在の息吹はその時ーー
「母様、そろそろ赤ちゃん欲しいと思わない?父様との赤ちゃんなら絶対可愛いと思うの」
「そうは言っても晴明が気乗りじゃないし、あたしもあんたが居れば十分だよ」
我儘を言う子をあやすような口調で縁側で息吹の頭を撫でているのは、百鬼筆頭の山姫だ。
留守役に置いているから力はあまりないように見えるが、男を魅了し、惑わして魂を吸い尽くす能力は天下一品。
人も妖も、関係ないほどの能力。
晴明もまた容姿端麗で力も折り紙付きだが、息吹を養女に迎えた時から、自ら子を持つことを望んでいないと公言していた。
「息吹、よその家のことに口を挟むな」
「主さま!失礼ね、よそじゃなくて私の家の話なんだから」
「…お前の家はここだろうが」
口調に剣のこもる主さまの苛立ちに気付いた山姫が、頭をぽりぽりしながら視線を泳がせて立ち上がると、主さまは颯爽と息吹の隣に腰掛けた。
「ここもそうだし、あっちもそうだもん。主さまの分からず屋」
「…ふてくされるな」
「ふてくされてませんっ。朔の様子を見てくるね」
また息吹の関心を奪われかけた主さまは、急に息吹の腕を掴んで驚かせると、滅多に見せない無邪気な笑顔を見せて低い声で囁いた。
「連れて行きたい場所がある」