主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
若葉と朔を並べて観察すると、朔が一回り大きいのがよくわかる。
若葉の親代わりである銀は相変わらずふらふらしていて頼りないので、必然的に息吹が育てているのだが、特に苦に感じたことはないので文句もない。
いつか朔が大きくなった時、無二の親友か、お嫁さんになってほしいという気持ちもあるが、一体朔はどんな男になるのかーー
「なあ息吹、別宅に俺も入れるようにしてくれよ」
「主さまがいいって言ったらね」
「駄目って言うに決まってんじゃん。なあ、息吹からも説得して…」
「主さまがいいって言ったらいいよ」
…先程からこの押し問答の繰り返し。
子守りの役も仰せつかっている雪男は、めげずに息吹から主さまに説得してもらえるように懇願していたが、息吹はなかなか頷かない。
腕の中の我が子に視線を落としたまま顔を上げず、だがにまにま笑っていた。
また朔は雪男を咎めるようにじっと見続け、それに気付いた雪男は、唇を尖らせて鼻を鳴らした。
「なーんだよその目は。そんな顔してるとお前の代の百鬼になってやんないからな」
『別にいい』
「…ん!?」
またもやの空耳…というか、息吹にしてみたら確信。
「やっぱり!朔ちゃん、あなた喋れるんでしょっ?」
「あぶー」
赤子を装っているのか、はたまた本当に空耳なのか?
雪男と息吹が顔を見合わせていると、夕暮れ時に主さまが起きてきた。
「騒々しいぞ」
「あっ主さま!おはよう、あのねっ、朔ちゃんが!」
「今!こいつ喋ったんだ!」
「はあ?馬鹿を言う…な…」
ーーと言いつつ晴明の予言めいた言葉を思い出しつつ、盛大な溜め息。
「…とにかく、静かにしろ」
騒々しいのを好まない主さまは、父親と認識して両手を上げている朔を抱っこして顔を覗き込んだ。
「ゆっくりでいいんだぞ」
「ぷぷぅ」
まるで会話をしているようなーー
息吹が目をまん丸にして雪男と顔を見合わせる。
早く大きくなりたい朔と、朔の成長をゆっくり楽しみたい主さま。
果たしてどちらの願いが叶うのか?
若葉の親代わりである銀は相変わらずふらふらしていて頼りないので、必然的に息吹が育てているのだが、特に苦に感じたことはないので文句もない。
いつか朔が大きくなった時、無二の親友か、お嫁さんになってほしいという気持ちもあるが、一体朔はどんな男になるのかーー
「なあ息吹、別宅に俺も入れるようにしてくれよ」
「主さまがいいって言ったらね」
「駄目って言うに決まってんじゃん。なあ、息吹からも説得して…」
「主さまがいいって言ったらいいよ」
…先程からこの押し問答の繰り返し。
子守りの役も仰せつかっている雪男は、めげずに息吹から主さまに説得してもらえるように懇願していたが、息吹はなかなか頷かない。
腕の中の我が子に視線を落としたまま顔を上げず、だがにまにま笑っていた。
また朔は雪男を咎めるようにじっと見続け、それに気付いた雪男は、唇を尖らせて鼻を鳴らした。
「なーんだよその目は。そんな顔してるとお前の代の百鬼になってやんないからな」
『別にいい』
「…ん!?」
またもやの空耳…というか、息吹にしてみたら確信。
「やっぱり!朔ちゃん、あなた喋れるんでしょっ?」
「あぶー」
赤子を装っているのか、はたまた本当に空耳なのか?
雪男と息吹が顔を見合わせていると、夕暮れ時に主さまが起きてきた。
「騒々しいぞ」
「あっ主さま!おはよう、あのねっ、朔ちゃんが!」
「今!こいつ喋ったんだ!」
「はあ?馬鹿を言う…な…」
ーーと言いつつ晴明の予言めいた言葉を思い出しつつ、盛大な溜め息。
「…とにかく、静かにしろ」
騒々しいのを好まない主さまは、父親と認識して両手を上げている朔を抱っこして顔を覗き込んだ。
「ゆっくりでいいんだぞ」
「ぷぷぅ」
まるで会話をしているようなーー
息吹が目をまん丸にして雪男と顔を見合わせる。
早く大きくなりたい朔と、朔の成長をゆっくり楽しみたい主さま。
果たしてどちらの願いが叶うのか?