主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
なんとか首を捩ってようやく雪男の顔を確認した息吹は、あんぐり口を開けて真っ青な瞳を覗き込んだ。
「ほんとに雪ちゃんだ…!雪ちゃんがおっきくなっちゃった!」
「元々大きかったっつーの。なんかわかんねえけど…元に戻れた。強く念じてたからかな」
会話は続行しているが、まだ雪男の腕の中。
立派な成人男性に戻ってしまった雪男は妖の中でも主さまや晴明と張り合える位に容姿が整っている。
そんな雪男と小さな姿であれど一緒に風呂に入ってしまった息吹は、ようやく現実を突きつけられて顔を真っ赤にした。
「なんで何も言わないんだよ。こんなに早く元に戻れるとは思わなかったけど…これでお前を義経や危険な奴らからまた守れる。あー、なんか視界が広い!」
「ゆ、雪ちゃんそろそろ離して!主さまに見つかったら大変だから…!」
「俺さ、まだお前のこと諦めてないから。もし主さまと離縁したら俺と逃避行しようぜ。百鬼なんかすぐ抜けてやる」
爆弾発言をしてまた息吹の大きな瞳を白黒させることに成功した雪男は、主さまが部屋から出て来た気配に気づくと、ようやく息吹を離して茶目っ気たっぷりに片目を閉じて見せた。
「じゃあ次は主さまを驚かせてやる。息吹、一緒に来いよ」
「え、でも私まだ料理が……きゃっ!」
離してくれたと思ったらまた突然抱っこされて驚いていると、雪男は大声を張り上げて主さまを挑発した。
「主さま、俺は息吹を諦めないからな!」
「…………なんだお前その姿は。……ちっ」
「あ、今舌打ちしたな?どうだ今息吹は俺に抱かれてるんだぜ。お?勝負するか?俺とやり合うか?」
「…お前とやり合うのには骨が折れる。それにお前がいくら待っていても、息吹は永遠に俺の妻だ。………にやにやするな!」
雪男に抱っこされていた息吹がにやにやしてしまうと、むっとした雪男は主さまの首にも息吹の首についている同じ痣を見つけて鼻を鳴らした。
「ふん、そんなのわからないだろ。息吹、また氷雨って呼んでくれよ。俺とふたりきりの時に」
あくまでも次々に挑発行為を繰り返す横柄な態度は、雪男の性格そのものだ。
本気で怒るのも馬鹿らしくなった主さまが息吹に手を伸ばすと、息吹はなんとかもがいて雪男の腕から降りて主さまの背中に隠れた。
「へへっ、楽しい!息吹、明日は俺もついて行くからな」
主さまの最大の好敵手、復活。
「ほんとに雪ちゃんだ…!雪ちゃんがおっきくなっちゃった!」
「元々大きかったっつーの。なんかわかんねえけど…元に戻れた。強く念じてたからかな」
会話は続行しているが、まだ雪男の腕の中。
立派な成人男性に戻ってしまった雪男は妖の中でも主さまや晴明と張り合える位に容姿が整っている。
そんな雪男と小さな姿であれど一緒に風呂に入ってしまった息吹は、ようやく現実を突きつけられて顔を真っ赤にした。
「なんで何も言わないんだよ。こんなに早く元に戻れるとは思わなかったけど…これでお前を義経や危険な奴らからまた守れる。あー、なんか視界が広い!」
「ゆ、雪ちゃんそろそろ離して!主さまに見つかったら大変だから…!」
「俺さ、まだお前のこと諦めてないから。もし主さまと離縁したら俺と逃避行しようぜ。百鬼なんかすぐ抜けてやる」
爆弾発言をしてまた息吹の大きな瞳を白黒させることに成功した雪男は、主さまが部屋から出て来た気配に気づくと、ようやく息吹を離して茶目っ気たっぷりに片目を閉じて見せた。
「じゃあ次は主さまを驚かせてやる。息吹、一緒に来いよ」
「え、でも私まだ料理が……きゃっ!」
離してくれたと思ったらまた突然抱っこされて驚いていると、雪男は大声を張り上げて主さまを挑発した。
「主さま、俺は息吹を諦めないからな!」
「…………なんだお前その姿は。……ちっ」
「あ、今舌打ちしたな?どうだ今息吹は俺に抱かれてるんだぜ。お?勝負するか?俺とやり合うか?」
「…お前とやり合うのには骨が折れる。それにお前がいくら待っていても、息吹は永遠に俺の妻だ。………にやにやするな!」
雪男に抱っこされていた息吹がにやにやしてしまうと、むっとした雪男は主さまの首にも息吹の首についている同じ痣を見つけて鼻を鳴らした。
「ふん、そんなのわからないだろ。息吹、また氷雨って呼んでくれよ。俺とふたりきりの時に」
あくまでも次々に挑発行為を繰り返す横柄な態度は、雪男の性格そのものだ。
本気で怒るのも馬鹿らしくなった主さまが息吹に手を伸ばすと、息吹はなんとかもがいて雪男の腕から降りて主さまの背中に隠れた。
「へへっ、楽しい!息吹、明日は俺もついて行くからな」
主さまの最大の好敵手、復活。