カラフル
そして、違う場所へ移動しようと立ち上がる。
だけど、あたしはその場所から動くことができなかった。
矢野ユウキに言われたことは、確かに当たっているからだ。
今日のあたしは仕事に身が入っていなかった。
朝香や郁のことを考えてばかりで、耳に入ってくるカメラマンの言葉通りに体を動かしていただけ。
彼が真剣にこの仕事をしていたのなら、怒る気持ちもわかる。
「……矢野さん」
ためらいながらも彼の前まで歩いてきたあたしは、思い切って声を出す。
呼びかけられた彼は雑誌から目をはなし、あたしを見上げてくる。
「矢野さんの言うとおり、考え事をしながら仕事をしてました。……本当にごめんなさい。この後の撮影はちゃんと頑張るので……許してくれませんか?」
深く頭を下げて、謝るあたし。
こういうのは得意じゃないけれど、この後、一緒に仕事をする相手には、ちゃんと言っておかないといけないと思ったから。