カラフル
そう聞かれたとき、あたしは「そんなつもりじゃない」と答えようとした。
だけど、言いかけてやめる。
ナナの言葉は、少し当たっていたから。
醜い考えを見抜かれているような気がして、顔が熱くなる。
「……そうかもしれない」
ナナに想われていたい、という気持ちは当たっていた。
急に避けられたのも嫌だったし、もう好きじゃなくなったのかと不安に感じていたから。
「あたし、映画……断るよ」
少し前のあたしなら、先輩との映画をすごく喜んだと思う。
だけど、今は「ナナが遠くなるなら、映画なんか行きたくない」と思う自分がいる。
「だから、片思いやめないで」
あたし、何を言ってるんだろう。
こんなこと頼んだりして、馬鹿みたい。
ナナは何も言わず、顔をジッと見てくる。
恥ずかしくなってうつむいても、その視線は感じられた。
数人の男子が横を通るとき、じろじろとあたしたちを見てくるから、ここで立っていることも辛く感じてしまう。