カラフル
「自分に自信があるのかもしれないけれど、友達の好きな人に手を出すとか……最低の人間がすることだよ」
好きな人はいないと言うのなら、好きでもない相手に手紙を渡したということになる。
それって、完全にあたしに対しての裏切り行為だ。
言われるままだった佐奈は、あたしのこの台詞を聞いた途端、険しい表情をする。
「ちょっと待って。……あたしのこと疑ってんの?」
そう問いかけてくる佐奈は、怒っているというよりは、ガッカリしたというかのような目をしていた。
「疑ってんの?」という台詞を聞いたあたしは、少し戸惑う。
だけど、疑うも何も、何を信じれというの?
洋介に手紙を渡す理由が、他にあるって言うの?
何も言わず睨み続けるあたしに、佐奈は深いため息をつく。