カラフル
傘をさしていても、風で斜めになった雨が、足元を濡らしていく。
あたしと洋介は、家の前の道路で向かい合ったまま、雨の音を聞いていた。
彼が何のためにここへ来たのかはわからないけれど、休んだことを心配してくれたことが胸の奥を熱くする。
「何があったのかは知らねぇけど、早く仲直りすれば? みんな心配してるよ、お前らのこと」
しばらくして、洋介は低い声でそう囁いてきた。
「あぁ、佐奈のことで来たのか」とがっかりするあたし。
黙ったまま返事をしないあたしを見つめ、洋介はフゥッと小さくため息をつく。