カラフル
「同じ服を着て同じメイクをしても、佐奈には叶わない……」
自分が何を言いたいのかさえ、途中でわからなくなっていた。
でも、このまま洋介を帰らせたくはなかったの。
告白をしようかと思ったのに、口から出る言葉は卑屈な台詞ばかりで。
こんなことを言いたいんじゃないと思った瞬間、あたしは言葉を詰まらせてしまった。
「…お前さ、そんなことを考えて、あの子らと友達やってんの?」
振り返る洋介は、少し軽蔑しているみたいだった。
首を横に振るあたしは、目にためた涙を頬に流していく。
そんな風に思って友達をしていたわけじゃない。
だけど、ナナに好かれる郁や、モデルをしている佐奈と一緒にいると、自分のことが嫌になるときもあったことは事実だ。