赤い月 終
「そうだ!
うさぎ!!」
夢見てる場合じゃねぇって。
てか、寝てねぇって。
ゼンキが隣にいてくれるからだろうか、景時は幾分軽くなった気がする躰を起こし、バジュラを拾い上げた。
「力になるって…
父さんが刃になンの?
そんなコトして、躰、大丈夫なの?」
「躰ッテ…
俺ハ、モウ死ンデンダッテ。」
グルグル肩を回す景時を見て、ゼンキは苦笑する。
愛しい人の名を呼んで灯った強い目の光は、母親にそっくりだ。
そう言えば、あまり人の話を聞かないところも…
「オマエ、千景ニ 似テルナ。」
「そ?
父さんにも似てンじゃね?」
「エ…」
「タイミングのシンクロ率、半端なかったじゃん。」
ハモりすぎて会話が成り立たねーよ、なんて嬉しそうに笑う景時を見て、ゼンキは言葉を失った。