赤い月 終
オニに似ていて、何が嬉しいというのだろう。
オニの子で何が嬉しいというのだろう。
千景に対しても、よく思っていたことだ。
オニと共にいて、何が幸せだったのだろう。
サッパリわからなかった。
だが千景はいつも笑っていた。
そして今、隣で自分を見上げる成長した息子も、同じように笑っている。
愛している。
オニである自分を受け入れ、愛してくれる二人を。
だから…
「本当ニ…
鏡ヲ 壊シテイイノカ?」
「うん。
むしろ、壊さなきゃヤバいの。」
「…
オマエハ…
ココカラ 出ラレナクナルゾ?」
ゼンキは少し俯き、歪に巨大化した手を胸に当てた。
彼らは加護として眠っていた。
ゼンキは景時の中で。
千景はゼンキの中で。