赤い月 終
「俺と逢って、うさぎになって、もう一度生まれたって言ったじゃん。
うさぎは笑ってたよ?
困ったり、怒ったり、楽しそうにしてた。
うさぎは疲れてなんてない。」
景時は甘く微笑んだ。
動揺に揺れる、赤い瞳。
抱きしめたい。
君に触れたい。
だけど…
それはもうよそう。
「俺と出逢ったコトや、一緒にいた時間まで、なかったコトにしないで?」
自分の存在意義を考えた。
『なんのために存在するんだろう』って、考えた。
バカな俺でも簡単にわかる、答えだった。
俺は君に出逢うために、ココにいた。
『紅玉』じゃない、『うさぎ』に逢うために。
だから『うさぎ』を、『うさぎ』の中の俺を、消してしまわないで?