指先で紡ぐ月影歌
目を瞑ればすぐにでも思い出せる記憶。
これを人はいずれ"歴史"と名付けるのだろうか。
今もこんなに鮮明にその顔が浮かぶのに、大切すぎた仲間たちはもう此処にはいない。
俺一人、この場所に取り残されてしまった。
掴めない残像はあまりに遠くて。
必死に手を伸ばす俺は酷く滑稽に見えるかもしれない。
それでも必死に手を伸ばす。
縋るように、祈るように。
今もう一度会えたなら、俺は彼らに何を伝えられるのだろう。
そしてふと思い返す。
彼らに初めて会ったのはいつだっただろうか。
「あれは確か…」
甦ったのはまだまだ血気盛んに粋がっていた若かりし頃の自分の姿。
そう。あれは確か家を飛び出した後のこと。