桃色の初恋〈上〉
愁に話したいことがある。
「紗季...ごめんな。」
『結婚するんでしょ?』
「知ってたんだ。」
『...よかったね。』
本当はそんなこと思ってない。
自分が愁の隣にいられないことが、
何よりも悔しくて___
『私も話したいことがあるの。』
「何??紗季も結婚??」
『違うよ。』
「じゃ、彼氏?」
『冗談はやめて。これから話すこと、聞き終わったら忘れていいからね。』
私は私と夢だけの秘密を愁に話すこと
を心に決めたんだ。
『私、流産してるの。』
「誰の子を?いきなりなんでそんな話____」
『愁と私の子』
辛い思い出が今、記憶にぎっしりと戻ってきた。