叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
なんで怒らねーんだよ。
「あっ、仁くん!なにぃ、忘れ物?」
クラスの女が廊下に出て来て、さっきの優花ちゃんとの会話の時の声とはえらい違いの鼻にかかったような声で話しかけてきた。
……それがたまらなくムカついた。
「仁くん?」
「……俺に話しかけないでくれる?それからさ、自分の仕事ぐらい自分でやりなよ。……きみ、最低だよ」
できるだけ笑って、落ち着いて言ったつもり。
だけど逆効果だったようで怯えたようにして足早に廊下を走って行った女を尻目に、俺は立ち尽くしていた。
……べーだ!ざまあみろ。
きっと彼女は空みたいに心の広い女の子なんだ。
嫌なことでも、なんでも引き受けてしまう。
……心の、優しい女の子なんだ。
なんでも許してしまう彼女が悔しい。
なんかわかんねぇけど、すげぇ俺が悔しい!!