叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
教室の扉を勢い良く開けると優花ちゃんが肩をビクッと揺らす。
「仁、くん……?」
「なんで断らないのさ」
「へ?」
なんのこと?みたいな顔して……。
やっぱり俺には理解できねーっ!!
説教でもして考え方を変えてやろうと思ったのにいっきに拍子抜け。
彼女のほのぼのした雰囲気にやられた。
「優花ちゃんって天然なの?」
「天然……?違うよぉ、たぶん?」
てへへと笑う彼女を素直に可愛いと思った。
……やべーじゃん。
普通に姉よりめっちゃ可愛いじゃん!
「さっき思ったんだけど、優花ちゃんって底なしに優しいよね」
「や、優しくなんかないよっ。ただ……」
「ただ?」
「自分がどんなに不利でも、自分が損することでも、我慢して優しくしてたら、いつか自分に返ってきてくれるんじゃないかなーって思ってるだけ」