叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。



すぐ人の心配をするところは、さすがだなって思った。


そしてやっぱり優しい。


……この時に優しさをあげるばかりの彼女に、


俺が、
俺だけでも、


彼女に優しさのカケラだけでもあげられたらなって思ったんだ。


与えるばかりの彼女に俺が優しさを与えてあげたいと思ったんだ。


この温かくて穏やかな気持ちが、恋だと気づくことに、さほど時間はかからなかった。



「仁くん、おはよう」



その日以来、俺たちは急激に仲良くなった。


もともと同じクラスだったのに、なんでこんな卒業まであと少しって時だったんだろうってすごく思う。


もっと早く優花ちゃんと仲良くなりたかったなって心底感じる日々。



「おはよー。今日も可愛いねぇ、優花ちゃん」


「えへへ、仁くんの冗談も毎日聞いてると慣れて来るねー」



ほわほわしたように笑う優花ちゃんに苦笑する。

……冗談じゃないんだけどな。



「勉強はどう?はかどってる?」


「もう全然だめだよぉ。優夜に教えてもらったんだけどてんでダメ」



へぇ、あの姉貴が勉強を……ね……。



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