叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
「とりあえず、中に入ろう。な?」
「もう……っ、もういい加減にしてよぉっ……!!!」
震える彼女の肩に手を掴んでいない方の手を伸ばそうとしたその時、大きな優花ちゃんの声に肩をビク!と揺らした。
ーーズキンッ。
痛む胸。一瞬の出来事だった。
「ゆうかちゃ……?」
「触んないで!!迷惑なのっ。ずっと迷惑してた!!もう私に話しかけないで……っ!!!」
心の底から叫ぶように強く言った優花ちゃんに、心臓を強く殴られたような衝撃が走る。
迷惑……?
そんな風に、思ってたのか……?
ずっと、俺が話しかけていたことは、彼女にとってはただの迷惑でしかなかったってこと?
「……っ……」
好きな人からの拒絶に、胸を鋭いナイフでグサッと刺されたように痛くなる。
俺だけが、嬉しくて、キュンとして。
俺だけが、君に恋をしていたんだね……。
そう思うと心の中が水をふくんだスポンジのようにどんどん重くなって。
震えている彼女の手を力なく、離した。
「ごめんね、ゆう……いや、相沢さん」
いつものように名前で呼ぼうとしてやめた。
最初から優花ちゃんなんて呼んで図々しかったかもしれない。
嫌だったのかもしれない。
最後に笑って見せると彼女の前から立ち去った。