叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。



「今日みなさんにこうして集まってもらったのは、みなさんに命に尊さについて考えてもらいたいからです」



校長先生の話を、みんなが静かに聞いていた。


昨日は学校中、相当なパニックになっていたから。


優花ちゃんが落ちて行く姿を見た生徒も少なくないはず。


きっとこれから話されることが、みんな気になって仕方ないんだと思う。


俺も、そのうちの一人だから。



「昨日3年生の女子生徒が屋上から飛び降りたのはみなさんご存知ですね?なんとか一命は取り留めましたが……ーー」



校長の言葉にいっきに体育館が騒ついた。


……俺は、呼吸をすることができなかった。


生きて、るのか……?


優花ちゃんは無事……?



「……っ……」



よかった……っ。


心の底から、よかった……!


優花ちゃんが生きてる。


ただそれがわかっただけで、俺の心は震えた。


生きてるだけでいいよ。


それが一番重要なんだ。



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