叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。


今、自分がおかれている状況がよくわからない。


仁と優花ちゃんの困ったような表情に不安が広がる。


……頭が混乱しすぎて、目眩がしそう。



「冬樹くん、ちょっといいかしら」


「……はい」



相沢のお母さんに呼ばれて俺は病室を出た。

その間際に見た彼女の俺を見る目は、警戒心そのものだった。


……いったいどうしたんだ相沢。


まるで俺のことを忘れてしまったような、そんな感じ。


なにより、失くしていた声が戻ってる。


……なにがどうなってんだ……。


廊下をしばらく歩くと少しだけ広いソファのような椅子が数個おいてあるロビーについた。


そこで相沢のお母さんは立ち止まった。



「あのっ!相沢どうしたんですか?」



待ちきれず俺から話を切り出した。


相沢のお母さんは控えめに口を開けて



「あの子記憶がないみたいなの」



……そう、言った。



「……記憶?」



記憶が、ない……?



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