叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
なのに相沢はリハビリを拒んでいる。
理由は、わからない。
「外に行きたくなったら言って。いつでもこうして連れて行くから」
「……ありがとう。ねぇ、冬樹。聞いてもいい?」
「いいよ?」
犬の散歩コースにもなっている道を歩いている。
もうすぐで紅葉もいい色になる季節だ。
すれ違ったお婆さんに頭を下げる。
一歩、二歩と歩いてもいっこうに話し出さない相沢の背中を首を傾げて見つめた。
「相沢?」
「私、二年間なにしてたの?」
「……え?」
答えが浮かばないというか、なんと言えばいいのかわからない質問に進めていた足を止めた。
……どうしよう。答えられない。
「なんで?」
「知りたいと思うのが普通でしょ?」
……確かに。
失くした記憶なら、誰かにその情報を聞きたくなるのは自然だ。
なんで予想できなかった?