叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。


「お見舞いに来るのは決まってお母さんとお父さんと優花と仁くんと冬樹だけ。ミユは?リンは?仲良くしてた友達みんなどうしたの?」



俺の知らない名前ばかりが相沢の口から出て来る。


中学の頃に仲良くしてた友達のことかな……。



「友達、あんなにたくさん居たのに……なんでよ……っ」



肩を震わせる彼女にかける言葉が見つからない。


優花ちゃんの一件で、相沢は当時仲良くしていた友達とも距離を置いたのかもしれない。


幸せにならない約束を仁としたから。



「ごめん。俺と相沢が一緒にいた時間は半年で、その前のことはよく知らないんだ……」


「じゃあその半年間のことだけでいい。教えて……」



相沢といた半年間。


止めていた足を再び動き出す。



「相沢は……あまり人と関わらないようにしてたよ。だから俺がいくら話しかけても心を開いてくれなかった」



追いかけても、手を伸ばしても、君は遠くにいた。


なかなか君との距離が縮まらなくてもどかしかった覚えがある。


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