叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。


お母さんも『優花のことは忘れなさい』って言うし、もうわけがわからなくて家を飛び出した。


……懐かしいなぁ。


まだ一ヶ月も経っていないのに。


冬樹の家に泊まったこととか

花火大会に行って迷子になったこととか。


……すごい遠い思い出に感じる。


そうそう。

朝目が覚めたら冬樹が隣で寝ててびっくりしたんだっけ。


まあいいやなんて思って二度寝したけどドキドキしたなぁ。


……やっぱり、

冬樹との半年間はすごく幸せだった。



「…っ……」



……涙が出ちゃう。


上を向くと綺麗な青空。

下は学校のグラウンド。


さっきまで冬樹たちが体育の授業をしていた。


保健室で書いた手紙。

冬樹の机の中に入れた。


遺書みたいなもの。


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