俺にしとけば良かったのに。
バイクにまたがり、風を切りながら哲也の背中にしがみついていたら、いろんな事を思い出した。

こうする事が何より嬉しかった頃を。

二人で暮らそうと思っていた事を。

いつも真っ直ぐな彼を大好きだった気持ちを.....



ドアを開けると、哲也の飼っている犬が走り寄って来た。

私を覚えていてくれたの?

あの頃の幸せな記憶が蘇る。

胸がいっぱいで張り裂けそうになり、思わず哲也に抱きついた。

哲也は切なそうに微笑むと、私を優しく包み込んでくれた。
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