神龍と風の舞姫
わかってる

しるふの声に止めていた歩を再びすすめる

目指すは王宮

この国の中心だ




「こんにちはー」

王宮って門番とか居るんじゃないのかな-?

と思いながら古びた門を押す

ギギギ、と金属のこすれる音を響かせながらゆっくりと開いた門の先には、厳かな雰囲気の石造りの王宮がそびえたっている

「……誰もいない」

門の内側で足を止め、周囲を見回すと同時に気配を探ったしるふが困ったようにつぶやく

「巨人族はこの間王の娘に王権を譲ったとこだと聞いたな」

隣で情報通の海斗が深いフードの下からつぶやく

「女王誕生ってこと?」

「そ」

「…の割にはさびれてるわねー」

どうする?見上げてくるしるふの視線を受けながら

「正面切って入るのもまあ、悪くないが」

「海斗、気配感じる?」

私、無理なんだけど

「奥の方に知った気配が少し巣作ってるな。巨人族の気配は、…ないな」

「…それっていい意味の知り合い?」

答えなんてわかりきっているのだが、一応聞いておく

「残念。しるふはお初にお目にかかれるかもしれないぞ、あいつらに」

< 100 / 117 >

この作品をシェア

pagetop