竜王様のお約束
コクリュウはそれ以上何も言えずに、黙って頷くに留めた。


「シリュウは、殺されてしまったよ。
生気をぜ~んぶ抜き取られて、単なる骸になった。
アハ・・・アハハ・・・。
ハクリュウ王は、やはり残酷なお方だ。
アハハハハハ・・・」


「ころ・・・!?
ハクリュウ王陛下に?」


理由を聞かないコクリュウに、キリュウはこれ見よがしに饒舌に語ると、狂ったように笑い出した。


部屋の中に、しばらくキリュウの笑い声がこだましたのだが、それが止むと今度は、恨み事を呟き始めた。


「アハ・・・コクリュウのせいだ。
お前がもっと上手く立ちまわっていれば、こんな事にはならなかったんだぞ・・・。
コクリュウのせいで、僕の計画はめちゃくちゃだ。
僕こそが、上に立つべき優秀な龍なのに!」


「キリュウ、何を言っている?
ハクリュウ王陛下は生きておられるんだぞ。
コウリュウ様は暗殺など、してはいなかったんだ。
噂は間違っていた。分からないのか?」


コクリュウは哀れむように、キリュウに声をかけた。
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