恋の扉をこじあけろ


じゃあお前にはやらないと言われて、薔薇を奪われた。


代わりにおでこにデコピンをくれた。



なんて大人げないやつなんだろう。



地味に痛むおでこを押さえながら川崎さんの背中を睨んでいると、先生が笑いながら中に入ってきた。

川崎さんはスーツのままで、先生はラフな私服。


どうやら仕事が終わって、二人で落ち合ってきたらしい。


「ごめん、ああいうやつで」


そう言いながら、わたしのおでこに触れた。



ひ…!


カチンコチンに固まるわたしに先生は気付いていないようで、指先でわたしのおでこを撫でる。


「痛い?」


「今は、あんまり…」


そう言ったのを後悔するくらい、先生の手が離れていくのが寂しかった。


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