恋の扉をこじあけろ


部屋のほうから冬実の歓声が聞こえた。


川崎さんの薔薇のプレゼントに、付き合ってやっているらしい。


わたしがモテない理由、わかった気がする。


「鼻も。どうしたんだろうこれは」


先生は笑いながら、今度はわたしの鼻の頭に手を伸ばした。


「そ、そこはほんとに痛いです」


また触ってもらえたのはうれしいけど、何しろ本当に怪我しているわけだから痛い。

先生はごめんごめんと言いながら手を離した。


的井先生が動くたびに、病院の匂いがかすかに漂う。


歯医者さん系の独特な匂い。


一日中病院にいるから、髪や服に匂いがしみついちゃってるみたいだ。


先生の匂いだから、全然嫌いじゃないけど。


むしろ、なんかくすぐられるわたしは変態でしょうか。


「何やってるんだよー、早く来いよ!」


部屋のほうから川崎さんが顔を出してわたしたちを呼んだ。


心の中で舌打ち。


せっかく先生と二人で楽しいのに、何してくれてんだ。

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