恋の扉をこじあけろ
「これは失礼」
そう言ったくせに、まだわたしを見ている。
そんなに信用ならないのかな。
わたしのこと、子ども扱いしてる…?
そりゃ、的井先生からしたら、わたしは20代に足をかけたばかりのコドモかもしれないけど。
ちら、と的井先生の方を窺うと、先生と目が合ってドキッとする。
先生はシャンパン片手に、空いているほうの手をわたしに伸ばしてきた。
「せっかくだし、食べ方も見ておこうかな。治療に役立つかもしれないし」
顎の動きがわかるように、わたしの髪を耳にかけた。
的井先生の少し冷たい指先がわたしの火照った耳を掠った。
冬実たちは話に夢中なのか、こっちを見る様子はない。
眩暈が、する。