瑠哀 ~フランスにて~
「とぼけるのですか?それならそれで、構いませんけれど。

でも、いつまでもあなたがそのようなら、

私も彼らをあなたに会わせるわけにはいきませんね。

彼らを傷つける者は、誰だろうと許さない。

ユージンに興味がないのなら、彼らに構うのはやめて欲しいですね。

いたずらにかき乱される者の身になって考えれば、迷惑以外の何者でもありませんから」

「なにを言っている?

―――私は、あの女に関わった事などないっ」

「信用はできません。

率直に申し上げますと、あなたの状況はかなり疑わしい。

彼らは狙われています。

その彼らの居場所を知っていたあなたが、一番怪しいですものね」


「なっ―――!!

私は、なにもしていない。

あの女が狙われているなど、聞いた事もない」

「信用できない、と申し上げたでしょう?

いつまでも彼らの命を脅かす事をやめないのなら、私も考えがあります。

警察にこれを持ち込んで、あなたを訴えてもいい」



 マーグリスは唖然として目を大きく見開いた。



「――それとも、あなたが本当に無実なら、それを証明するために、

セシルとユージンの前でそれを言ってもらいましょうか。

必ず、あなた一人で来てもらいます。

誰かに行き先を教える事も避けてもらいますわ。

今度まだ狙われるようなことになったら、

二度とあなたの孫に会えないと覚悟してくださいね。

彼らはフランスを去りますよ」


 瑠哀は冷然としてマーグリスを見下ろす。
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