瑠哀 ~フランスにて~
驚愕に目を見開いた瑠哀と朔也を前にして、
その場に現れたリチャードはその腕に握られている拳銃を真っ直ぐ瑠哀に狙い定め、
ゆっくりと近づいてきた。
まだ、その銃口から煙が上がっている。
「動くな。この女がどうなってもいい、と言うのなら、僕は気にしないが」
瑠哀に拳銃を狙い定めながら、それは、朔也を牽制している言葉だった。
ユージンを抱えた朔也が、瑠哀をかばうことなどできない。
「リッチー!」
「何をしている。時間のかけ過ぎだ」
「でも……。子供は、ここに――」
「ふん。この余計な二人はなんだ」
「それは――。上手くやったのよ、リッチー。こいつらが来なければ―――」
「言い訳はいい。その女を縛れ」
反対の腕に持っていた縄のようなものをリチャードが出した。
ケインではなく、リチャードに荷担する女であったとは、予想していながら、思ってもみない誤算だった。
ケインだけを構っているのではなく、マーグリス一族に茶々入れしていたようである。
屋敷内まで、リチャードの悪巣が蔓延っていたなど。
マーグリス一族さえも掌中に収める、などと、そこまで自分の能力に自惚れていたのだろうか。
「リチャード。逃げ切れるはずはない。
いい加減、抵抗するのをやめるんだ」
メイドによって瑠哀の腕が縄でしっかりと縛り付けられている様を歯痒く見ている朔也が、リチャードに言いつける。
その場に現れたリチャードはその腕に握られている拳銃を真っ直ぐ瑠哀に狙い定め、
ゆっくりと近づいてきた。
まだ、その銃口から煙が上がっている。
「動くな。この女がどうなってもいい、と言うのなら、僕は気にしないが」
瑠哀に拳銃を狙い定めながら、それは、朔也を牽制している言葉だった。
ユージンを抱えた朔也が、瑠哀をかばうことなどできない。
「リッチー!」
「何をしている。時間のかけ過ぎだ」
「でも……。子供は、ここに――」
「ふん。この余計な二人はなんだ」
「それは――。上手くやったのよ、リッチー。こいつらが来なければ―――」
「言い訳はいい。その女を縛れ」
反対の腕に持っていた縄のようなものをリチャードが出した。
ケインではなく、リチャードに荷担する女であったとは、予想していながら、思ってもみない誤算だった。
ケインだけを構っているのではなく、マーグリス一族に茶々入れしていたようである。
屋敷内まで、リチャードの悪巣が蔓延っていたなど。
マーグリス一族さえも掌中に収める、などと、そこまで自分の能力に自惚れていたのだろうか。
「リチャード。逃げ切れるはずはない。
いい加減、抵抗するのをやめるんだ」
メイドによって瑠哀の腕が縄でしっかりと縛り付けられている様を歯痒く見ている朔也が、リチャードに言いつける。