森の人
どれくらいの間、その恐怖を耐え凌いだだろう。

ついに諦めたか、その攻撃が止み、足音が遠のいていった。


まだ放心状態の五人。

冷や汗でビッョリだ。

「い、行った?」

恐怖に震えながら、サヤカが言った。

「た、多分」

と、返事する拓也。
さすがに動揺は隠せないようだ。
その声は震えていた。

「何だったの?今のは?」

再びサヤカが尋ねる。

「分からない」

コウヘイが、緊張した口調で答える。

「でも何でだ?」

「今まで、猛獣なんか…、毒虫や毒蛇すらいなかったのに」

恐怖から解放され、徐々に冷静さを取り戻す拓也。

「も、もしかして、揃ったから?」

何かを思い出し、茜が言った。

「揃った?」
「どういうことだ?」

拓也が聞いた。

「私はあの女性に
『五人の仲間が揃った時、森は動き出すでしょう』
て言われたの」

「森が動き出す?」
「一体、この森は…」

拓也のその言葉に、全員が息を呑み、顔を見合わせた。
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