森の人
しかし、誰も来ない。
「みんな無事かな」
鉄格子を握ったまま、地面に座り込む。
鉄格子の外は、人が一人通れる程の通路が、横に続いている。
その通路を隔てた向かいにも、鉄格子の、同じ空間があるが、そこには誰もいない。
「みんな、どこにいるんだろう」
おそらく、両隣にも同じ空間が幾つかあるのだろうが、人の気配は感じられない。
孤独・静寂・不安…
いろんなものが、澤山の心を襲う。
まだ痛む後頭部が、意識を虚ろにする。

コツ…、コツ…、

地面にうつぶす澤山の耳に、足音が聞こえた。
「誰かいるんですか?」
鉄格子に顔を付け、足音がする方を見る。
だけど、そこからでは何も見えない。
次第に足音が近付いてくる。
「ここです。ここ」
そして、澤山の前に止まる。
「ここから出して下さい」
「謎の人」がそこにいた。
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