極上御曹司のイジワルな溺愛
温泉に浸かっているからだろうか。蒼甫先輩の視線だけで、体が溶けそうになってしまう。
「椛……」
甘く名前を囁かれれば、スイッチが入ったかのように体が痺れ疼き始めた。
蒼甫先輩が欲しい──
自分からそんなこと思うなんて、今までに一度だってなかった。
ただ、なんとなく。そんな気持ちだけで、流されるように体を許してきたような気がする。
付き合っているから当たり前、好きならそうなることが当たり前。
今となってはその“好き”さえ、本当だったんだろうかと疑問視するところだけれど……。
そんな自分に呆れて自嘲気味な笑みを漏らすと、蒼甫先輩が「どうした?」と顔を覗き込む。
「なんでもない」
「そう? ならいいけど」
会話がなくなると部屋は無音の世界になる。心臓が脈打つ音が聞こえてしまわないかと気になりながらも、蒼甫先輩から目を離すことができない。
どのくらい見つめ合っていたのか──
言葉を交わすことなく、どちらからともなく唇を重ねた。
一度離れては、また重なり。甘いキスを繰り返していると頭の中がボーッとしてきて、蒼甫先輩の体を預けるような体勢になってしまった。
「積極的なのは大歓迎だ」
意図してそうなってしまったわけじゃないのに……。
そう反論したいのに、湯でのぼせてしまったのか、それとも蒼甫先輩に溺れてしまったのか口がうまく動かない。
近づいた体はキスの重なりも深くして、息苦しさから声を上げそうになって、それをかろうじて抑えた。