ひとつ、ベッドの中
「やめてっ…」


凌ちゃんを庇いに出たあたしに、宏太君は弾かれた様な視線を向ける。


どっちを庇うべきかなんていう正しい判断、今のあたしにはできなくて。


「……っ」


宏太君は歯を食いしばり、手にはさらに力がこもって――


「どけ。詩織」


シャツにしがみついたあたしの手を、押しのけるように凌ちゃんが解く。


思った以上の力があって、あたしはフラフラっと後ろの席に追いやられた。

< 237 / 423 >

この作品をシェア

pagetop