ひとつ、ベッドの中
凌ちゃんの言葉の意味も理解できず、手も足も出せない。


ただ、この光景を固唾をのんで見守るしかできない。


握り締めた手を胸の前に当てて。



静けさだけが支配する中、宏太君はじっと睨みを利かせて


「テメーなんて、殴る価値もねえっ…」


突き放すように低い声で言い、勢いよくシャツから手を放した。


言い訳もせず、何も抵抗しない、凌ちゃん。


大きく体を揺さぶられて、緩くパーマのかかった髪が凌ちゃんの目を隠した。


自分の言った言葉を、深く認めるように。

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